【西荻窪】ゆったりとした時が流れる異世界のような喫茶店「物豆奇」

物豆奇の内観

西荻窪ほど純喫茶好きの心をくすぐる街があるのでしょうか。

ふと手に取りたくなるような書籍が集まる本屋さんに、かわいらしい外観をした手作りのケーキ屋さん、そして街に溶け込んだ老舗喫茶店の数々。

そんな魅惑的な街の中でも、店名からして並々ならぬこだわりを感じさせる喫茶店が「物豆奇(ものずき)」です。

不思議な世界観をもち、ひときわ個性を放つその魅力を、お伝えしたいと思います。

▼物豆奇が掲載されている本

目次

物豆奇

物豆奇の内観

1975年創業の「物豆奇」は、初代のマスターが国立にあった喫茶店「邪宗門」をモデルに、自身の趣味をたっぷりと詰め込んで作り上げた喫茶店です。

店を作った方は作り上げることに満足してしまったらしく、2年で辞めてしまったのだとか。

ちょうどその頃、喫茶店を始めたくて物件を探していた現在のマスターがこの店を見つけ、店名も内装もそのままに引き継いだのだといいます。

珈琲豆は「邪宗門」にならって、創業時から付き合いがある神保町の「倉木コーヒー」から仕入れ、注文ごとに一杯ずつ丁寧にドリップするのがこだわり。

物好きな初代マスターから、これはまた物好きな現在のマスターへ、こだわりがそのまま受け継がれていることが「物豆奇」の魅力だといえるでしょう。

外観

物豆奇の外観

西荻窪駅から4分ほど歩くと現れる、協会のような風貌をした奇妙な建物。

お隣のフラワーショップの花が店の前まで並んでいて、ジブリの映画「耳をすませば」に登場する雑貨屋「地球屋」のような独特な雰囲気があります。

物豆奇の看板

不思議なフォントで「珈琲」と書かれた看板や、二人の夫婦の絵が描かれた古びた吊るし看板が何ともいえない味わい深さ。

このガウディの建築物ような外観からして、中がどれほど変わった空間なのか、気になって仕方がなくなってしまうのです。

内観

物豆奇の内観

古材を多用した店内は、アンティークのランプや数えきれないほどの振り子時計が飾られていて、異世界のような空間です。

振り子時計は止まっているものもあれば、チクタクと時を刻んでいるものもあり、ゆったりとした時が流れているように感じます。

珈琲豆が入った大きなガラス瓶や、金魚が1匹入った水槽、隣のトトロに出てくるような古い電話機なんかも、店の味わい深さを感じさせてくれます。

物豆奇には何度も訪れているけれど、私が決まって座るのは窓際の隅っこの席。
ちょうどいい具合にマスターの目線を遮ることができて、それでいて店全体をじっくりと眺めることができる席なのです。

物豆奇の内観

音響から流れ出るジャズに耳を傾けながら、ステンドグラスの窓の向こうで、通りを行きかう人々の姿をぼーっと眺めました。

窓の外はごく普通の日常世界なのに、扉一枚で非現実的な世界に入ってしまえるのだから不思議なものです。

店内を見渡すと、カップルのお客さんと一人の男性客がそれぞれ寛いでいました。

私は喫茶店で雑談をするカップルを眺めるのが好きです。
恋人というものは、一緒にいるだけで日常を特別なものに変えてくれる存在だけれど、そんな相手と非現実的な空間に訪れて、二人で目を合わせながらそわそわとしている姿が可愛らしく感じられるのです。

お一人さまの男性客を眺めるのも好きです。
店の棚に置いてある雑誌を手に取って、静かに珈琲をすするサラリーマン。
一人の時を堪能する姿に、思わず共感してしまいます。

しみじみ思うのは、喫茶店という場所は、非日常な空間を味わうという共通の体験を通して、たまたま居合わせた人たちに心の繋がりを感じさせてくれるものだということ。

一人で訪れたのに、一人じゃない。会話もないのに、一人じゃない。

物豆奇を訪れるといつも、そんな不思議な安心感と心の温かさを感じることができるのです。

メニュー:ウィンナー珈琲とシフォンケーキ

物豆奇のウィンナー珈琲

物豆奇のメニューは純喫茶らしく、いたってシンプル。
ブレンドコーヒーやアメリカンコーヒー、アールグレーなどのドリンクメニューに、本日のケーキやトーストなどの軽食が用意されています。

普段はストレートの珈琲ばかり飲むのだけれど、物豆奇ではいつもウィンナー珈琲を頼んでしまいます。
物豆奇のウィンナー珈琲は、滑らかな生クリームの控えめな甘さと、ブレンド珈琲の深い苦みが絶品なのです。
初めて口にしたときには、「こんなに美味しいウィンナー珈琲があるのか」と衝撃を受けたものでした。

物豆奇のシフォンケーキ

ウィンナー珈琲と合わせて注文するのが定番となっているのは、シフォンケーキ。
シフォンケーキの種類は日によって違うのですが、この日は紅茶味のものをいただきました。

しっとりとした舌触りのシフォンケーキは、芳醇な味わいのウィンナー珈琲と相性が抜群。
何度訪れても、物豆奇のウィンナー珈琲とシフォンケーキには感嘆してしまう美味しさがあります。

店舗情報

物豆奇の外観

老舗の喫茶店が数多く残る街、西荻窪で、ひと際個性を放つ喫茶店が「物豆奇(ものずき)」です。

いくつもの振り子時計が鳴らすチクタクという響きに身をゆだねて、非日常な時の流れを味わってみてはいかがでしょうか。

物豆奇

  • 創業  :1975年(昭和50年)
  • 住所  :〒167-0042 東京都杉並区西荻北3丁目12−10
  • アクセス:西荻窪駅から徒歩5分
  • 営業時間:09:30〜20:00
  • 定休日 :不定休
  • 座席数 :15席
  • 喫煙  :全席禁煙
  • サイト :食べログ

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