“昭和レトロ”好きにはたまらない動画に出会ってしまいました。
たまたま目にしたのは、YouTubeチャンネル「フィルムエストTV」が公開したオリジナルドラマ『友近サスペンス劇場 外湯巡りミステリー・道後ストリップ嬢連続殺人』。
90分にも及ぶ超大作なのに、昭和パロディな映像とストーリーからどうにも目が離せない。
公開から1週間で245万回再生を記録するほど、多くの人の琴線に触れているドラマの魅力を語りたいと思います。
▼『友近サスペンス劇場 外湯巡りミステリー・道後ストリップ嬢連続殺人』
『友近サスペンス劇場 外湯巡りミステリー・道後ストリップ嬢連続殺人』とは
「フィルムエストTV」は、1994年生まれの映像好きの社会人、西井さんが運営するYouTubeチャンネル。
アナログ感溢れる昭和風の映像は、フィルムエストが得意とするところです。
そんな“あの頃”な映像に魅力を感じた友近さんが、「昔の2時間サスペンスを、フィルムエストの“あの雰囲気”でやりたい!」と企画を持ち出したことから、今回のドラマが始まったのだといいます。
当時29歳だった西井さんは、友近さんから「観てほしい」と言われた映像を片っ端から観ることで、2時間ドラマの再現方法を研究したのだとか。
1年間仕事を休職してまで作品制作に努めた西井さん。
ドラマの脚本から監督・映像編集・主題歌の作詞まで、徹底して“昭和”な作品づくりに励みました。
その熱意の甲斐あってか、『友近サスペンス劇場』は、まだ20代の一般人が制作したとは思えないクオリティの高さで、強烈な印象を残すドラマとなっているのです。
ドラマの魅力を徹底分析
そんな西井監督の“本気”に満ちたドラマの魅力を、個人的な観点から徹底分析してみました。
ノスタルジックな映像
ドラマの一番の魅力は、なんといっても“あの頃”な映像の再現度の高さでしょう。
動画全体が、録画したビデオテープを再生している風の映像として作られており、“アナログあるある”が随所に織り込まれるなど、徹底した昭和オマージュが施されています。
懐かしさ感じるアナログ風の映像に、古臭いセリフの数々。
最初は「友近さんがまた面白いことやっているな」だなんてネタのつもりで観ていたのに、気づいたらストーリーに夢中になっている。
“昭和あるある”に笑ってしまうのに、小学生の頃に夕方のテレビを観ていた風景がふと蘇って、切ないような、温かいような気持ちにさえなってしまう。
クレヨンしんちゃんの「オトナ天国」を観たときに感じたような、そんなノスタルジックな気分がこのドラマの最大の魅力なのではないかと思います。
相棒役・モグライダー 芝さんの演技力
次にドラマの持ち味となっていたのは、相棒のカメラマン役を務めた芸人・モグライダー 芝さんの演技力です。
登場シーンで口にした「東京から飛行機で1時間半!案外近いんだねえ~」のセリフから思わず虜になってしまいました。
言葉を発するだけで、“昭和”を感じさせる力があるのです。
ハンサムな顔に、船越英一郎さんをイメージしたというグローブを付けた衣装。主人公を密かに想っているかのような仕草。
「昭和のドラマってこんなんだったよなあ」と感じるのは、芝さんの貢献によるところがかなり大きいように思います。
今ではすっかり芝さんにハマってしまい、脚本家・松原秀さんと放送しているPodcast『裏表』を聴いたり、モグライダーのYouTubeを観たりするようにまでなりました。
Podcastでは今回のドラマについても語っているので、ドラマを観た方はぜひ聴いてみてくださいね。
友近さんが歌う主題歌の中毒性
最後にドラマの余韻を大きく残していたのが、友近さんが歌う主題歌『ジャスト・アローン』でしょう。
こちらも、監督の西井さんが作詞を担当しています。
竹内まりやさんの『シングル・アゲイン』のオマージュであることが、わかる人にはわかる絶妙なサジ加減。
エンドロールにこの曲が流れると、2時間ドラマを楽しんだ余韻と、終わってしまう寂しさに、同時に胸を締めつけられました。
ドラマを観終わった後も口ずさんでしまい、気づけばYouTubeにアップされた友近さんの歌声を聴いてしまうほどの中毒性の高さ。
個人的には、Apple Musicで配信されることを切実に願ってしまうほどの名曲だと思っています。(笑)
▼オマージュの元となった楽曲『シングル・アゲイン』について語っています
アマチュアが作る映像の可能性について
ドラマを観終わったあとにふと心に浮かんだのは、「一般人であっても、素人であっても、本気で“好き”を貫いていれば、いつかきっと誰かに届く」ということです。
超大作を生み出した西井監督ですが、はじめから天才的だったわけではなく、「フィルムエストTV」の再生回数が伸びない時代を約10年間も経験していたのだそうです。
社会人になったら動画づくりはもう終わりにしようと思っていたのに、「次はこういうものを作りたい」という想いが止まらず、仕事を続けながらYouTube投稿を続けていたといいます。
そしてある日、昭和パロディな映像が話題となり、徐々に再生回数が増え、その映像が友近さんの目に留まったことで、今回のドラマ制作に至ったというストーリーが何よりも感慨深いと思うのです。
「好きで続けていることは、いつかきっと誰かに届く」
その想いを糧に、このブログを書く力が沸いたのでした。
▶ドラマの制作秘話が描かれた西井監督のブログはこちら
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